航海中に突然ブラックアウトして動揺したことはありませんか?
ブラックアウトは運行に必要な機器を全て停止させてしまう非常に危険なものです。
この記事を読めばブラックアウトの根本的な原因から対処法までわかると思います。
そしてその本質を掴むことで突然のブラックアウトにも冷静に対応することが出来るようになることでしょう。
広告ブラックアウトは、機器の修理などのために意図的に行う以外は突発的に生じることが多い。ブラックアウトの原因は、発電機原動機の異常停止による機械的なものと、気中遮断機(ACB:Air Circuit Breaker)トリップによる電気的なものとに大別される。ブラックアウトが起こると運行をつかさどる重要機器が一瞬のうちに停止する。その究明は二次的な問題であり、次に起こる事故を防ぐために、電源並びに主機及び補機器の復旧を第一に考えなければならない。
引用元:練習船実習生用教科参考資料 四級海技士編・第2編(機関系)
目次
主な原因
発電機が停止(デーゼルエンジン)
FO系統の不具合
- FOストレーナーの閉塞
- FO系統各バルブの閉塞
- FO切れ
- FO配管の破損
- FOへ水分混入
エンジン保護装置の作動
- FW温度上昇
- LO温度上昇
- LO圧力低下
- オーバースピード(過速度)
- 誤って非常停止ボタンを操作
エンジン運動部の破損
- 焼き付き
- ギヤ破損等
ACBがトリップ
操作ミス
保護装置の作動
- 過電流(瞬時、短限時、長限時)
- 送電力
- 低電圧
母線の異常
- 電圧の低下
- 電圧の上昇
- 周波数の低下
- 周波数の上昇
対策
船舶はブラックアウトが発生すると主機及びその他の重要機器は全て停止し、推力を失い漂流状態となってしまいます。
機関士はこのような危険な事態から一刻も早く復帰させる必要があり、冷静沈着に船内電源の復旧に尽力しなければなりません。
この時、船橋への連絡はもとより一人で解決しようとせず非直者に連絡する等あらゆる手段を講じなければなりません。
ブラックアウト発生直後の様子
- 船内電源停止
- 主機危急停止(電源喪失保護装置作動)
- バッテリー24V系統による必要最低限の電源確保(非常灯へ自動切り替え)
電源自動復旧
- スタンバイ機の発電機が始動する
- スタンバイ機始動後ACBが自動投入される
- スタンバイ機が自動始動しない場合には手動で始動→ACB投入。
- キープリレーにより各電動機が自動起動する
- 自動始動した機器も含め、プラントに必要な機器を始動する
- 主ボイラ搭載船は直ぐに再点火し徐々に昇圧する
停止した主機を再起動
- 効いた保護装置を解除し、再始動準備をする
- 主機始動準備が出来たら船橋に報告してテレグラフと操縦ハンドルを停止位置に戻してもらう
- 主機再始動
- 前後進等各部テストを行う
FO噴射ポンプの固着を防ぐために、再始動に時間ががる場合はFOをC重油からA重油に切り替えておく
タービン機関では、プラントの正常復帰が遅れた場合、潤滑油は重力タンクから供給されるだけなので、主機の遊転中及び潤滑油の状況に十分注意する。また、主機の停止によりタービンの局部冷却を起こしロータの曲がりなどの事故を引き起こすことのないように、遊転停止後は手動でターニングを行いながら電源の復帰を急がなければならない。
引用元:練習船実習生用教科参考資料 四級海技士編・第2編(機関系)
通常運転状態へ復旧
- プラントに必要な各機器の始動及び運転状態を点検、復旧を確認する
- 主機が通常運転状態になったら船橋に報告する
- 自動始動しない空調や通風機、油清浄機等を復旧する
- ブラックアウトの原因を調べる
- 原因が是正出来ればブラックアウト前の使用号機に切り替える
その他
船内電源復旧に時間がかかる場合は錨泊や非常操舵に切り替える必要があるため、船橋と密に連絡を取りましょう。
また、狭水道通過時や、出入港時には事前に発電機を並列運転しておくと不測の事態に備えることが出来ます。
【船舶】航海中にブラックアウト(電源喪失)その原因と対処方法。〜機関士編〜
いかがでしたでしょうか?
対処方法がわかればその対応は案外難しいことはありません。
しかし、一度ブラックアウトが発生してしまうと重大事故に繋がりかねません。
些細な見落としで取り返しのつかないことにならないよう、日頃から五感をフルに活用した見廻り点検を心がけましょう。
おしまい
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